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私がキヤノンで25年間やってきたこと

更新日:2022年9月11日

1. キヤノンはカメラと複写機等の事業部の集まり


キヤノンは、カメラ、複写機、プリンタ、医療機器、半導体製造装置等の事業部の集まりの大きな会社です。カメラ部門は祖業と言いまして大切に扱われています。人材豊富でエリートの事業部のような気がしておりました。いっぽう複写機部門の1990年代は中途採用の人が多かったようです。私も中途採用です。


カメラは売り切りが基本です。故、厳しい基準で設計します。キヤノンのカメラは信頼性が高い。複写機は市場で故障したら直しながら、お客様に使用してもらう文化です。


複写機がすごく売れてよかったのですが、故障の連続です。国内外での故障・事故もありました。カメラ部門は、複写機の市場故障でキヤノンブランドの精密・緻密に傷がつくとお騒ぎするのも当然と思います。私を含め複写機関係者は肩身が狭い思いをしたと思います。


複写機の事故が発生しましたが、困ったことに海外現地生産のための部品採用基準もなかったのです。複写機部門は、再発防止を目的にして本社部門と共同で複写機の第1版の安全技術基準を作成しました。しかし、事故はなかなか減少しませんでした。懸命な改革(変革)に努力を要することが明らになりました。




2. 私は安全規格部門から外れた


そんな時、私は上司の指示で本社の安全規格部門から外れ、複写機部門と共同で複写機部門の事故対策に専念せよという指示が出ました。その時は、カナダのCSAから私のサインで認証しても良いという許可をえた直後で、すごくうれしかったですですが。


気を取り戻して、複写機の事故対策を1年間考えて計画を練りました。複写機部門の困りごとを解決して、市場故障を一掃しようと決めました。その時の部下は、3人でした。まもなく、複写機部門の事故対策の責任者が本社部門に異動になり、私の上司になりました。


その上司のもと事業部に声をかけ、製品安全基準を共に作り出しました。基準は、再発防止、安全規格、市場トラブル等を考え、基準の構成に工夫をこらしました。作り終えたあと、二人で事業部、国内と海外工場等を何度も周り、製品安全の大切さを訴えました。

社長から、かならずやれ、こうしろかといことはなく、二人でコツコツやったのが全社基準になり、かならず守るという基準になった原点です。




3. 重要安全部品


重要安全部品は、特定の電気部品は事業部の判断では採用できないルールにしました。 市場で発火事故をおこし、大きな炎を上げる部品を特定しました。徹底的に研究しました。その一つが前回話した一次平滑用アルミ電解コンデンサです。


それ以外の部品は、雑音防止用フイルムコンデンサ、バリスタ、トライアック、加えて同じ重要安全部品の温度ヒューズ、サーモスタットです。


この6部品は、キヤノンで内部構造の工夫、安全性試験を充分行い、キヤノン専用の部品に近い仕様でした。この6部品に対して極めて厳しいルールの認定部品制度を作りました。事業部が品質本部との共同で認定試験を行なうというルールです。


この部品認定制度はキヤノン製品の安全性の基本となりました。1991年から2000年にかけてコツコツ達成してきた認定制度。現在まで事故がないと聞き及んでいます。特にキヤノン専用に近い温度ヒューズ、サーモスタットは、複写機、プリンタの安全性を飛躍的に高めました。




4. 製品安全技術基準と電気信頼性基準を統括


キヤノンでは、製品安全は品質保証ルールとは独立した位置づけで運用します。私が所属する本社部門の製品安全技術部は、製品安全技術基準を作成した部門であり管轄元でした。


もう一つの重要な電気信頼性基準は、複写機、プリンタ等の標準を統括する部門から担当者を引き継ぎ、製品安全技術部は二つを統括する部門になりました。その後、デジタル革命でカメラ部門も電気信頼性基準を遵守することがきまり、二つの基準は、キヤノンの全製品はMUSTで遵守することが社のルールになりました。


製品安全技術部が二つ基準の改訂、修正の提案をすることになり、キヤノン全製品の製品安全性と信頼性を統括する部門になりました。

 



5.最終的なキヤノンの安全性の形


私は半導体製造機器部門の基準を支援した際、労働安全の重要性を見いだしました。人事部に働きかけ、オールキヤノンの工場の労働安全に力を入れました。社長にその大切さを伝え2006年に仕組みが出来ました。


「日経産業新聞フォーラム2006 ものづくり安全と企業経営」で公開した資料を下記に

示します。






このようにして、安全規格から始まり、複写機、カメラ部門、半導体製造装置部門のキヤノンの全部門を相手になしながら製品安全性と労働安全性の大切さをコツコツやってきました。


電気製品の安全性と信頼性、工場で働く人の怪我や感電防止、これらをまとめ上げたのが2006年10月です。この時には、電源品質関連で世界18カ国を訪問するという仕事も(世界18カ国における一般家屋の異常電圧の測定結果)無事終わり、キヤノンでの製品安全の25年の仕事をやりきったという感じでした。





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